予算委員会第六分科会で25日、農薬のグリホサートについて質問しました。
質疑ではまず、英国と比べて日本ではどの程度農薬が使用されているかを確認。農水省は、「2017年で見ると、日本は1ヘクタール当たり11.8キログラム、英国は3.2キログラムで、日本の農薬の使用量は英国の約3.7倍」と答弁。続いて、グリホサート製剤である除草剤ラウンドアップの使用量が国内でどの程度増えているか質問したところ、農水省からは、「2010年は4,149トン、2018年は6,179トンと、約2,000トン増加」との答弁がありました。
このことについて江藤農水大臣に質したところ、大臣は、「農家は高齢化が進み、就業人口も減っている中で、除草効果が高く、省力化にも資するという意味でグリホサートを選択されている」と述べ、増加は仕方がないという認識を示しました。
グリホサートが増えたのは、国が2017年、グリホサート残留農薬基準を最大400倍に大幅緩和したことが背景にあります。この点について厚労省は、「グリホサートの残留基準は2005年11月以降改正されてなかったため、その間に改正された国際基準などを踏まえ、2017年10月に基準値の改正を行った。食品安全委員会の科学的な根拠に基づいて人の健康を損なうおそれのないよう基準値を設定した」と答弁。
しかし、国際がん研究機関は2015年、グリホサートを「おそらく発がん性あり」というグループ2Aに分類しました。また、2017年前後には、フランス、イタリア、サウジアラビアなどでグリホサート製剤の使用を控える動きが出始めるなど、安全性に警告を出している国々もあります。
さらに、米国では、グリホサート製剤の健康被害訴訟が4万件に上ります。例えば、末期がんと診断された男性が、がんになったのはグリホサート系除草剤のラウンドアップの使用が原因として訴訟を起こし、モンサント社に対して賠償金87億円の支払いを命じる判決も出ています。
これだけ米国で問題になっている中で、グリホサートの使用量が増えている国内において、農家の健康は本当に大丈夫なのかどうかを大臣に質しました。江藤大臣は、「2019年に米国の環境保護庁の評価では、使用方法を厳守する限りにおいては発がん性の可能性は極めて低いと結論づけ、米国内でも引き続き使用されている。農水大臣の責任において100%保証できるのかと言われると、断定的なことは申し上げられないが、2018年の法改正に基づいて、来年にはグリホサートも含めて一斉に製剤の安全性について検査をしていきたい」と答えました。
ラウンドアップについては、公園や学校での規制が明確ではないため、農家以外での使用についても注意喚起を行うなどの対策が必要です。この農薬の問題については引き続き国会で議論していきます。
配布資料(2020年2月25日)
予算委員会第六分科会議事録(2020年2月25日)
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