本改正は新型コロナウイルス感染症の対策をより効果的におこなえるようにするためのものです。政府案では厳しい罰則規定が盛り込まれていましたが、現状、明確な立法事実がないことや、十分な協力金が支払われていないなどの理由で、私は罰則に関しては慎重な立場です。
本来、この改正は緊急事態宣言が出される前におこなわれるべきものでした。私たちはそれに備えて、昨年12月2日に特措法改正案を国会に提出しています。ポイントは『協力金をしっかりと支払うこと』、『医療・検査体制の強化』、『国と地方の連携強化』などです。しかし、与党はこの審議に応じず、12月5日に国会を閉めてしまいました。
1月8日に2度目の緊急事態宣言が発出されました。国会を閉めずに議論していれば、協力金を明確にした上での時短要請や、医療体制の強化がもっとスムーズにできたはずです。結局、改正案の審議が始まったのは1月29日からで、緊急事態宣言発出から3週間以上経っていました。しかも、衆議院を通過したのは2月1日、実質2日の審議です。
1月29日夜に地元でコロナ対策会議を開き、地方議員や民間幹事と意見交換した際に、罰則を盛り込むことに関しては強い反対意見がありました。本来、地域で意見交換を重ね、国民の同意を得ながら法律改正すべきです。12月に国会を閉めなければそれができました。しかし、今回またも緊急事態宣言の最中に判断せざるを得ず、十分に皆様のご意見をお聞きすることができませんでした。
実は昨年3月のインフル特措法改正の時も同じでした。私たちは1月終わりごろから特措法改正の必要性を訴えていましたが、安倍政権はそれに応じませんでした。2月27日に法律の裏付けがないまま、突如として全国の学校休校が要請されました。多くの方々がお困りになったと思います。感染拡大が急速に進む中、慌ただしく特措法改正の議論が始まりました。「緊急事態宣言を発出する時には、国会承認が必要」と思いましたが、十分な議論をする時間はなく、法律改正されました。今回なぜ同じ轍を踏むのか、残念でなりません。
罰則規定に関して、党内議論をした上で、「執行部一任」となりました。与野党協議がおこなわれ、以下の通り原案は修正されました。
❶ 入院の措置等に係る罰則の修正
(入院を拒んだ時など)
「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」 → 「50万円以下の過料」
❷ 積極的疫学調査に係る罰則等の修正
(保健所の質問に対して虚偽の回答をするなど)
「50万円以下の罰金」 → 「30万円以下の過料」
❸ 緊急事態宣言時の命令に違反した場合における過料の額の引下げに係る修正
(興行場、学校、社会福祉施設の使用制限に従わないなど)
「50万円以下」 → 「30万円以下」
❹ まん延防止等重点措置時の命令に違反した場合における過料の額の引下げに係る修正
(飲食店に対する営業時間の短縮命令に従わないなど)
「30万円以下」 → 「20万円以下」
❺ 医療関係者等に対する協力の要請に係る規定の修正
感染症の発生予防又はまん延防止のための措置の実施に対する必要な協力の要請対象として、「医療機関」を明記すること。
結果として罰則の項目が完全になくならなかったのは残念ですが、わが党執行部は与党と全力で交渉してくれたと思います。もしわが党が与党と交渉しなければ、原案通り「懲役刑」が含まれました。完全に納得はできませんが、修正案への賛成は致し方ないと判断しました。
【要綱】特措法等改正案修正案
【修正案】特措法等改正案修正案
【対比表(改め二段)】特措法等改正案修正案
【修正案対照表(新旧三段)】特措法等改正案修正案
新型インフル特措法改正案附帯決議(衆議院)
新型インフル特措法改正案附帯決議(参議院)
新型インフル特措法政府原案