そもそも憲法は誰のもの?

 昔、イギリスのジョン王は戦争ばかりしていました。戦争になると貴族や市民に大きな負担が強いられました。ある時、疲弊した貴族たちはフランスへの出兵に反対しましたが、ジョン王は強行しました。結果、敗北。これ以上ジョン王とは一緒にやれないと思った貴族たちが反乱を起こしました。ジョン王は妥協をはかり、議会の同意がなければ勝手に戦争ができないようになりました。簡単に言うと、これがマグナカルタで、憲法の始まりです。

 憲法とは時の政権が暴走しないように、政権の行動に制限をかけているものです。ですから、憲法の範囲を超えて行動する場合は、国民に了解を取る必要があります。

 安倍政権以来、自民党は憲法を無視してどんどんと国の形を変えてしまいました。その最たるものが9年前に作られた安保法制です。自民党は多くの国民が反対しているにも関わらず、歴代自民党政権ですら憲法に違反すると言ってきた集団的自衛権を使えるようにしてしまったのです。

 それ以降も、野党が憲法に基づいて国会召集を要求しても開かない、勝手に衆議院を解散するなど、今の自民党の憲法軽視は甚だしいです。

 

自民党の憲法改正案で良いの?

 日本国憲法の大切な3つの柱は「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」です。自民党の憲法改正案ではこれらが壊されていますが、本当に皆さんはそれで構わないのでしょうか?

国民主権が縮小されます

 憲法前文の主語が「日本国民」から「日本国」に変わり、「ここに主権が国民に存することを宣言し」という文も削除されています。

平和主義が後退します

専守防衛でなくなります。国防軍を創設し、はっきりと集団的自衛権の行使が可能となります。

基本的人権が制限されます

 例えば憲法13条の「公共の福祉に反しない限り」は「公益及び公の秩序に反しない限り」に変わります。つまり「個人の権利と個人の権利がぶつかった時」にだけは制限される可能性があったものが、「国の意向にさからった時」にも制限されるのです。反戦運動などの市民運動は取り締まりが強化されることでしょう。

 

憲法に緊急事態条項って必要なの?

 自民党は 『緊急事態条項』 を憲法に書き込もうと力を入れています。これは、外部からの武力攻撃や内乱、自然災害など、緊急事態が発生した時、国会の判断なしに、政府が自由に法律を作り、予算を付けることができるようにするというものです。

 かつてナチス・ドイツのナチ党は少数政党でありましたが、この緊急事態条項を乱用することで第二次世界大戦に突入していったという歴史があります。麻生太郎元総理が数年前に「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」と発言しましたが、皆さんは恐ろしいと思われませんか?

 現在、海外からの攻撃に対しては「武力攻撃事態法」、内乱には「警察法」や「自衛隊法」、自然災害には「災害対策基本法」で緊急時対応をしています。これらの法律で対応できないことは具体的に何か、既存法の改正で対応できないのはなぜなのか、自民党は丁寧に説明していますか?