パレスチナ大使との会談

 河内一朗・鎌ケ谷市議会議員と荒井靖行・白井市議会議員を含む5名で、ワリード・シアム駐日パレスチナ大使と約2時間、パレスチナ大使館で面会しました。私の目的は人質の即時解放をお願いすること、日本のメディアが報じていることが真実であるか確認すること、そして日本に今何を求めるかをお聞きすることでした。シアム大使は予想していたこととは異なる話をされました。

パレスチナとハマスは違う

 一つはパレスチナ自治政府(PA)とハマスは違うということをシアム大使は強調されました。1993年のオスロ合意までさかのぼりお話しされ、平和的な解決を目指していた中で、ハマスの台頭を後押ししてきたのはアメリカであり、イスラエルだと。「2006年に行われた総選挙において、当時のブッシュ大統領がハマスを選挙に参加させるよう要求してきました。当時、入植地の拡大や経済の悪化で人々のPAへの不満が募っていた時で、ハマスが選挙に参加したらハマスが勝つことが予想されました。結果は案の定、ハマスが2/3の議席を取ったのです。ここで重要なことは、アメリカもイスラエルもハマスはテロリスト集団だと批判していながら、選挙のプロセスを後押ししたことです。その後、ハマスはガザで勢力を拡大し、PAはガザから出ざるを得なくなりました。ハマスによるガザの実効支配が始まったのです。」

10月7日のハマスの攻撃

 「このタイミングでハマスはなぜ攻撃したのかという話ですが、ハマスはイスラエルを毎日攻撃しているのです。ですから突然攻撃したというよりは、今までの一連の流れの中で行われたと見ています。イスラエルは世界最強の情報収集能力を持っています。ガザの周りは電気の通った壁で覆われていて、24時間の上空監視、スパイもいる中で、なぜ今回のハマスの攻撃を許したのか疑問です。ハマスはイスラエルがこれほど大規模に反撃してくるとは思っていなかったでしょう。人質を交換して数日で終わると思っていたのでは。しかし実際にはイスラエルの攻撃によってガザの半分が壊滅しました。13,000トンの爆弾がガザに落とされましたが、これは原子爆弾に匹敵します。1万人以上の市民が命を落としている中、ハマス戦闘員で殺害されたのは100人程度だと言われています。これはまさしくジェノサイドです。」

日本に求めること

 「国際社会の人たちに、パレスチナとイスラエルの問題をこねくり回すのをやめて、国連の決議に従った、二国家解決を支持して欲しいです。日本はアメリカ寄りです。もっと中立の立場で行動して欲しい。例えば、ロシアがウクライナに侵攻した時、日本はロシアに対して経済制裁を加えました。なぜ、イスラエルに対して行わないのか?日本はコソボを国として認めています。コソボは国連のメンバーではありません。パレスチナは国連のメンバーですが、日本はパレスチナを国として認めていません。一方でこれまでの日本の人道支援に対して感謝しています。」  パレスチナ大使の発言の一部ではありますが、以上のような趣旨のことをお話しされました。日本政府はパレスチナに対して約100億円の人道支援を約束し、国連安保理での「ガザ地区の子どもの人道状況を改善するために戦闘の休止を求める決議」にも賛成しました。いくら過激派ハマスを掃討するという理由があったとしても、一般市民の命が今のような形で失われることは絶対に認められません。日本はイスラエルに対して言うべきことはしっかりと言うべきです。

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