新型コロナウイルス感染者は現在10日間の隔離が求められているが、その濃厚接触者は更に10日間求められる場合がある。例えば、子どもが感染し自宅療養となった場合、同居の親は20日間の隔離を求められるかもしれない。テレワークで対応できる人はよいが、20日も仕事を休むことは通常かなり厳しい。ましてやワクチン接種済みで全く症状がない人も20日休む必要はあるのか?政府はもう少しフレキシブルな対応をすべきだ。

濃厚接触者の待機期間

 感染爆発により、医療や福祉関係者などエッセンシャルワーカーで濃厚接触者になる人が増えている。このままでは社会が回らなくなる恐れも指摘される。政府もそれには対応しており、今まで14日間だった隔離期間を10日に縮めたり、エッセンシャルワーカーに特例を設けたりしている。しかし、自宅療養者が激増する中、それ以外の濃厚接触者も元気な状態で20日間も隔離されるのは社会にとっても損失だ。東京では10人に1人が濃厚接触者になる恐れがあるとの報道もある。

濃厚接触者の待機期間

濃厚接触者の待機期間 神奈川県HPより

 そもそも自分が濃厚接触者であるかどうかわかり難い。感染爆発が起こると、保健所が過剰業務となり、重症化リスクの高いケースが優先となる。子どもが陽性となったが、自分が濃厚接触者かどうか保健所から連絡が来ないという声をしばしば耳にする。

 米国は昨年末に、無症状の感染者に対して隔離期間を5日に短縮した。濃厚接触者に関しては、ワクチン未接種の人やワクチン接種後間が空いている人は5日間の自己隔離、ワクチンが有効な人は隔離なしである。これは症状が現れ始めてから2~3日後までに最も他者に感染させやすいという科学的実証に基づいた判断だという。イギリスはPCR検査の結果次第で隔離期間が5日に短縮されるそうだ。

 日本はコロナ流行初期からPCR検査を軽視し、先進国最低レベルの検査しかしてこなかった。最近、検査試薬が足りないとの報道があるが、水際対策の強化で流行を遅らせ、準備期間を作ったのではなかったのか?もっとPCR検査を重視すべきである。感染者の隔離期間を10日にするのであれば、感染者に発熱などの症状がなければ、6日目と10日目にPCR検査を行い、ともに陰性であれば、同居の濃厚接触者も10日目にPCR検査を受けて、陰性が確認できれば解除でよいのではないか。科学の力を使わずに、無駄に経済を停滞させることは避けるべきだ。政府の積極的な対応を求めたい。

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