【参議院・選挙制度改革】
 先の国会で参議院の定数を6議席増やす法案が強行採決され、可決・成立してしまいました。来年7月頃に参議院選挙が行われますが、どのように選挙制度が変わり、なぜ6議席も定数を増やす必要があるのか、理解している国民はどれほどいるのでしょうか?
 選挙制度は民主主義の土台であり、国民への丁寧な説明と理解なくして変えるべきではありません。国会で審議を尽くさずに、強行採決で変えてしまう、こんなやり方を許したら、日本の民主主義は本当に崩壊してしまいます。
 改正前の参議院の議席数は242議席でした。任期は6年で、選挙は3年毎に半数ずつ行われます。各都道府県を単位とする選挙区と全国から選ぶ比例代表の2つの制度からなっています。千葉県選挙区は定数6議席(3年毎に3議席改選)です。
 今回の改正で選挙区が2名、比例代表が4名増えることになりました。
 最高裁は一票の格差是正について指摘しているのに、何で比例代表を4議席も増やすのでしょうか?自分の党に有利になるように勝手に選挙制度を変えてしまったら、民主主義は崩壊します!

■6議席も増やすのはおかしい! 
 人口減少が進んでおり、多くの地方議会で身を切る定数削減が行われている中で、なぜ国会議員だけ6議席も増やすのでしょうか?6議席のうち2議席は埼玉選挙区の定数を増やすもので、一票の格差是正のために必要なことは理解できます。しかし、比例代表を4議席増やす理由がわかりません。合区となった【鳥取・島根】及び【高知・徳島】から立候補できない国会議員4人の救済策であると言われていますが、それなら比例代表の定数内で行うべきではないでしょうか。

■拘束名簿式がおかしい! 
 かつては拘束名簿式がとられていましたが、名簿順位を党が決めていたため、「候補者の顔が見える選挙を」ということで、2001年から非拘束名簿式に変わりました。それが今回復活することになります。
 その理由は合区救済と言われています。しかし、最高裁は一票の格差が広すぎるから選挙制度を変えなさいと指摘しているわけで、これでは事実上一票の格差が広がるのではないでしょうか?「都道府県単位で代表を」というコンセプトは重要ではありますが、その解消方法として一票の格差が広がるようなやり方は間違っていると思います。
 今回自民党が提案した方法では、各党が比例名簿の上位に鳥取や高知の候補者を載せてくる可能性があります。皆当選すると、鳥取や高知選出の議員ばかり増えることになります。これでは最高裁の判決と逆行するのではないでしょうか。
 選挙制度は民主主義の土台であり、国民の理解無くして変えるべきではありません。

ここがおかしい!
● 人口減少なのに何で議席数を増やすの?
● 最高裁は一票の格差を指摘しているのに、何で比例代表を増やすの?
● 専門家委員会での議論と全く異なる内容でいいの?
● 拘束名簿式を導入していいの?
● 国民の半分以上が反対しているのに強行採決で決めていいの?

2018年9月10日号「参議院6議席も増!」