日本は現在、47トンものプルトニウムを保有しています。これは核爆弾六千発分に相当する量です。また、青森県六ケ所村に再処理工場を建設中で、もし運転が始まると、8トンのプルトニウムが毎年新たにプラスされます。安倍政権はこれらのプルトニウムをMOX燃料として使うために、更に十基以上の原発を再稼働させると言っています。唯一の戦争被爆国である日本が、明確な理由なくしてプルトニウムを保有すべきではありません。ましてや、そのために原発を再稼働させてよいのでしょうか! 
 高浜3, 4、玄海3、伊方3号機の4基がプルサーマルを行っていますが、昨年はプルトニウムを1トン弱しか消費していません。このペースでは、現在50年分のプルトニウムを保有していることになり、明らかに過剰状態です。安倍政権は今後次々に原発を再稼働させるので問題ないと言っています。現在、6基が再稼働申請済み、青森県大間町には新たな原発を建設中、東京電力は3~4基の再稼働を目指しています。

【再処理は何が問題?】
 再処理とは、ウラン燃料を使った通常の原子力発電から出て来る使用済核燃料から、プルトニウムを抽出して再利用するための処理のことです。このプルトニウムが核兵器に使用できるので問題となります。
 一九七0年頃に、インドは米国やカナダから民生利用として原子炉を輸入しました。そして、使用済核燃料を再処理し、プルトニウムを抽出、一九七四年に核実験を強行しました。民生用として輸出したはずの原発から核兵器が作られた悪しきケースです。 
 このように、再処理は核兵器の拡散につながる可能性があるものです。国際社会は安易に再処理を容認すべきではありません。

【サウジアラビアの問題】
 サウジアラビアは今後、十六基の原発を作る予定です。そして米国に、ウラン濃縮や再処理ができるように強く求めています。これらを認めると、サウジアラビアが核兵器を所有する可能性が出てくるので、中東はますます不安定化するでしょう。多くの国々が懸念しています。

【日本の再処理は特例】
 三十年前に締結した日米原子力協定では、日本は自由に再処理ができることになっています。これは非核兵器保有国の中で例外であり、韓国やサウジアラビアは、日本に認められてなぜ自分たちに認められないのかとクレームしています。日本は諸外国にきちんと説明できない状態で、再処理を進めるべきではありません。七月十六日にこの協定は期限を迎えますが、自動更新されると言われています。

【再処理って必要?】
 福島第一原発事故は原発の安全神話を打ち砕くもので、地震列島の日本に原発はふさわしくないことが再認識されました。また、「もんじゅ」の技術的な行き詰まりから明らかなように、高速増殖炉の夢は消え馳せました。この様な中で、日本はなぜ再処理を継続するのか、安倍政権は明快な説明をしていません。青森県六ケ所村に新しい再処理工場を建設中ですが、次々と問題が見つかり、なんと二十三回も稼働が先送りされています。昨年十二月にも三年先送りが決まりました。この様な問題のある工場の建設費用は、なんと三兆円を超すと言われています。
 日本は現在四十七トンものプルトニウムを所有しています。六ケ所村の再処理工場が稼働すると毎年8トンがプラスされます。安倍政権はこのプルトニウムをMOX燃料として使用すると説明しています。現在、MOX燃料が使える原発は四基、今後更に十二基以上再稼働すると言っています。これで年間約十トンのプルトニウムが消費されます。
 MOX燃料を使った発電のコストは高く、通常のウランを使った原子炉の一・五倍以上になると政府は試算しています。なんのメリットもない事業をなぜ進めるのか、全く理解できません。核兵器をいつでも作れるようにするために維持していると批判されても仕方がないのではないでしょうか。
 日本は世界唯一の戦争被爆国であり世界の非核化に向けて先頭に立って行くべきです。しかし、今の安倍政権は核兵器禁止条約に反対、原発輸出に積極的、そして過剰なプルトニウムを維持しようとしています。日米原子力協定の改定時期に併せて、原発政策は大きく変更すべきではないでしょうか。

2018年7月1日号「過剰なプルトニウムどうする?」