12日に開催された農林水産委員会において、「種苗法の一部を改正する法律案」について質疑を行いました。

今回の法律改正には、「近年、わが国の優良品種が海外に流出し、他国で増産され第三国に輸出される等、わが国からの輸出をはじめ、わが国の農林水産業の発展に支障が生じる事態が発生している。育成者権侵害の立証には、品種登録時の種苗との比較栽培が必要とされる判決が出るなど、育成者権の活用しづらさが顕在化している。このため、登録品種を育成者権者の意思に応じて海外流出の防止等の措置ができるようにするとともに、育成者権を活用しやすい権利とするため、品種登録制度の見直しを図る」という背景があります。

法律改正の概要は、「①育成者権が及ばない範囲の特例の創設、自家増殖の見直し、質の高い登録品種審査を実施するための措置、②育成者権を活用しやすくするための措置」等となっておりますが、立憲民主党としては、「育成者権の保護については全く異論ないが、自家増殖を行っている有機農法の農家等に影響を及ばす懸念の声もあり、配慮が必要と考える」という理由で、法案の修正を求めていくことを確認しています。

冒頭、野上浩太郎農林水産大臣に対して、「農家の方が持っていた固有の権利である自家採種、自家増殖に制限がかかることについて、しっかりと説明する必要がある」と指摘し答弁を求めました。大臣からは、「現行法では、登録品種の増殖実態の把握、増殖の差し止め、刑事罰の適用、損害賠償に必要な証明等が困難であり、海外流出の抑止が困難となっている。自家増殖を行っている農家に対し、海外持ち出し防止を知らせる方法がない。自家増殖にどのような制限があるのか示すことが重要と考えている。登録品種の自家増殖について、(法律改正で)育成者権者の許諾を必要とすることにしたい」との答弁がなされました。

シャインマスカットやイチゴの品種「章姫」の海外流出の現状等についても質問しましたが、農家の固有の権利である自家増殖に制限をかければ、海外流出が止まるという政府の考え方には大きな違和感を覚えます。多くの農家の方は、故意ではなく、知らずに持ちだしているだけのケースがほとんどで、登録品種を海外に持ち出したり、無断で譲渡したら違法であることを丁寧に説明すれば効果があると思います。

EU諸国では、自家増殖は原則として許諾が必要となっているけれども、小規模農家は例外事項で許諾料が免除され、自家増殖を認められています。今日本の農家の方たちは、自家採種、自家増殖に制限がかかり、許諾料が上がることによって経営が苦しくなるのではないかと心配しています。

党内では「自家増殖の原則自由の維持もしくは自家増殖に対する育成者権が及ばない例外品種を設ける」という内容の修正案を検討しています。農業者が安心して営農できる環境を整えるため、真摯に取り組んでまいります。

農林水産委員会議事録(2020年11月12日)
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