経済産業委員会で13日、PCR検査、アベノマスク、新型コロナウイルス治療薬について橋本厚生労働副大臣らに質問しました。

PCR検査
質疑の冒頭、日本のPCR検査数が諸外国と比べて極めて少ないことを指摘したうえで、3月下旬から急に検査数が増えた理由について質問しました。橋本厚労副大臣は、「民間の検査機関に依頼するなどして検査数を増やした。3月下旬から発熱や倦怠感のある人が増え、医師が検査を必要と判断した人が増加したため、それが検査数に反映されている」と答弁しました。

政府は1日2万件のPCR検査を目標としていますが、京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、「大学の研究所などを利用すれば、1日10万件は検査できる可能性がある」と述べています。このことについて質したところ、橋本副大臣は「医師が必要と判断した人が確実に検査を受けられるようにするとともに、濃厚接触者に対してPCR検査を行うことで、現時点では2万件という目標を達成するのが大事」と答弁し、2万件で十分という認識を示しました。

しかし、現場ではPCR検査を受けたくても受けられない事例が多数見受けられます。例えば、障がい者施設の職員に喉の痛みの症状があったとしても、それだけではPCR検査は受けられず、職員は入所者への感染リスクを抱えたまま出勤しなくてはなりません。

また、子どもが塾で濃厚接触の疑いがある場合、発熱していなければPCR検査を受けることが容易ではないため、保護者は子どもを外出させていいかどうか判断に悩みます。すなわち、医師が判断した2万件の検査だけでは十分とは言えず、検査基準を緩和し、もっと検査を受けられる人を増やす必要があります。

日本の技術を活用するなどすれば、検査数を増やすことにつながります。例えば、開発ベンチャー会社プレシジョン・システム・サイエンス(PSS社)は全自動PCR検査システムを仏エリテック社と共同開発し、フランスの医療現場で活躍しています。また、千葉県鎌ケ谷市では、医師会が移動式PCR検査車両の導入を進めています。こういった取り組みを政府はもっと後押しすべきです。

アベノマスク
次に、全世帯に布マスクを2枚届けるというアベノマスクを取り上げ、妊婦用に準備されたマスクの中に不良品が見つかったことについて、枚数と全体に占める割合を質しました。厚労省の担当官は、市町村に配布した47万枚のうち、約10%に当たる4万6千枚に不良品があった」と答弁。不良品は誰が確認したかを問い質したところ、厚労省は「4万6千枚すべてを市町村の職員が目視で確認した」と述べました。

保健所職員がマスクを検品したことについて橋本副大臣は、「様々な対策をお願いしている自治体や保健所の方々に対して、不良品のマスクよってご負担をおかけし、大変申し訳なく思っている。今後は市町村にも配慮しなければならない」と陳謝し、結果的にアベノマスクが多忙を極める保健所職員の業務量を増やす要因になったことを認めました。

新型コロナウイルス治療薬
続いて新型コロナウイルスの治療薬を取り上げ、安倍総理が「5月中にアビガンの承認を目指す」と発言していることについて、何を根拠に発言しているか質問しました。厚労省からは明確な答弁はありませんでしたので、「薬の有効性を出すのは簡単ではないため、科学的な根拠に基づいて発言をしてもらいたい」と釘を刺しました。

治療薬レムデシベルについては、実際にどの程度の量が日本に入ってきて、どれくらいの患者さんがこの治療薬を必要としているかを質しました。厚労省の担当官は、「レミデシベルは重症者、すなわちICUに入っている方、人工呼吸器やECMOを使っている人に使用する。すべての人に使えるわけではなく、医師が必要と判断した人に対して使う。今後とも必要な量の確保に向けて最大限努力する」と答弁しました。

これから2次補正予算案の審議も本格化していきますので、新型コロナウイルスの問題については引き続き国会で議論していきます。

配布資料(2020年5月13日)
経済産業委員会議事録(2020年5月13日)
質疑の動画はこちら(YouTube)