ギャンブル依存症患者が増えないのか?
 3度目の強行採決です。
TPP、働き方改革と、民主主義の手続きを軽視した強行採決が続き、異常と言うしかない終盤国会で、今度は「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法案」、通称「カジノ法案」が強行採決されました。
 日本は世界一ギャンブル依存症の患者が多い国です。安倍総理は、今国会で本法案を成立させたいようですが、ギャンブル依存症患者は増加しないのでしょうか?経済発展のためにカジノを利用する発想には賛成できません。

【世界一のギャンブル依存国】 
 日本でギャンブル依存症の疑いのある人は人口の3.6%で(2017年、久里浜医療センター調べ)、推計では約320万人となり、先進国の中でも飛びぬけて高い数字となっています。
 この上、カジノができれば世界一に拍車がかかるだけでなく、新たな依存症患者が生まれてくる事は考えるまでもありません。
 我が党でも、ギャンブル依存症対策基本法案を策定し、この問題に取り組んでいますが、民間で依存症問題に取り組まれている方々にとっては本当に切迫した問題です。
 自助グループや回復施設、家族会。こういう現場の方々の声をしっかりと聞き、まずは依存症ケアにこそ全力を傾けるべきです。
 不幸な人を増やし、不名誉な記録を更新するのが安倍総理なりの愛国心なのでしょうか。

【違法なカジノを合法に?】
 日本では刑法で賭博を禁止しています。違法なカジノを合法化するために、法務省は「8要件」というものを示しました。カジノを後からこの要件に当てはめて合法化するしくみです。
 カジノを作りたいがために、自ら法の抜け穴を作る。目的のためにはルールを曲げてしまうこのやり方は、集団的自衛権、共謀罪、盗聴法などで何度となく繰り返されてきた常套手段であり、安倍政権のお家芸とすらいえるでしょう。

【成長戦略??】
 政府はカジノ法案を成長戦略と位置づけていますが、人の不幸の上に私たちの成長を築くのが正しい手法と言えるのでしょうか。
 主なお客は外国人観光客かと思っていたら、どうやら日本人がターゲットの様です。日本人には週に3回、月10回の入場制限を設けるそうですが、週3日のカジノ通いは、依存症患者を生み育てるには十分過ぎます。
 安倍政権の成長戦略には筋の悪いものがいくつもあります。高プロ、武器輸出、原発輸出、そして今度はカジノです。

■ギャンブル依存症の父を持つAさんのケース
 父親がギャンブル依存症で、私が9歳のころ、借金が2億7千万円まで膨れ上がり、食事にも困るほど生活が困窮してしまいました。関西の祖母の家へ逃げましたが、借金取りの取り立てに追われ、祖母はノイローゼに。
 そんな状態になっても、父はさらにギャンブルを続けました。しまいに父は、他の女性と家庭を築き、これを機に母は父と完全に決別しました。おかげで父のギャンブルの問題からは解放されましたが、父親に愛されなかったという自己憐憫は深く心に傷を残し、私自身も後に依存症者の家族や配偶者が陥りやすい「共依存症」で苦しみました。
 その後、共依存症からの脱却を願い、自助グループに通う事を決意。回復への道のりは長いですが仲間と一緒に歩んでいけるのは幸せな事だと感じています。父と自身の共依存からの決別ができたおかげで40歳になった今、ようやく人生が楽しめるようになりました。
ギャンブル依存症問題を考える会  
「うちの親はギャンブル依存症」より抜粋

「ギャンブル依存症」とは?
 WHOが定めている国際質病分類「精神および行動の障害(ICD-10)」の中でも、治療すべき病気と定められ、正式名称は「病的賭博」と呼ばれる「病気」です。
 本人の自覚や努力、根性論だけでは回復できず、回復には自助グループに通ったり、回復施設に入寮して適切なプログラムを受ける必要があります。

2018年7月31日号「カジノが成長戦略???」