経済産業委員会で29日、経営承継円滑化法改正案について質問しました。今回の改正案の趣旨は、後継者不足による中小企業の廃業を防ぐために、新たな制度を導入するなどして後継者候補が承継をしやすくするというものです。

中小企業庁によると、今後10年の間に70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は245万人となり、うち約半数の経営者127万人の後継者が未定です。現状を放置すると、2025年ごろまでに約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があるという深刻な数字が示されています。

このことに関連して、質疑の冒頭に近年の中小企業の年間廃業件数について確認しました。中小企業庁は、「2016年以降、年間4万件で推移しており、2019年は4万3千件。うち、経営者の年齢が60歳以上の企業が83.5%を占めており、休廃業の背景には、経営者の高齢化と後継者不足がある」と答弁しました。

次に、昨年の事業継承の数と今後の目標について質問。中小企業庁は、「全国の事業引継ぎ支援センターにおいて、2019年は1176件をマッチングし、2020年度は2000件を目標としている。事業継承全体の数や目標値については、国として全てのケースを把握していない」と述べ、4万件の廃業に対して数千しか事業継承ができておらず、正確な数字や目標値もわからないということが判明しました。

続いて、今回の法改正でどの程度廃業を減らすことができるか質問しましたが、中小企業庁からは明確な答弁はありませんでした。年間4万件に上る廃業を減らすための法改正にもかかわらず、政府はその効果について答えられないというずさんな状況が浮き彫りになりました。

本来であれば、事業継承の目標値を定め、ロードマップを作成し、政策効果を予測して取り組まなければなりません。政府には問題意識を持ってもらい、廃業を減らすために事業継承を着実に進めてもらいたいと要望し、質疑を終えました。

中小企業成長促進法案概要資料
経済産業委員会議事録(2020年5月29日)
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